久留米の春は風が強いと言われています。今日は競輪の「場」について書きます。私が大学時代に自転車競技部のマネージャーをしていた頃、先輩たちは「バンクの形が選手の脚質を作る」とよく口にしていました。観戦8年が経って、その言葉の意味が少しずつ見えてきたように感じています。
競輪を始めたばかりの方にとって、「場」という言葉は曖昧かもしれません。テレビ中継で「松戸の最終」と聞いても、それがどんなバンクで、どんな風が吹く場所なのかは想像がつきにくいと思います。今回は、全国43場の役割と全体像を、編集長として落ち着いた目線でまとめました。情報はKEIRIN.JP公式・各場公式サイト・JKA発表値を参照しています。
競輪の「場」とは何を指していますか?
競輪の「場」は、レースが実際に行われる競輪場(バンク)を指す呼び方です。プロ野球の「球場」や競馬の「競馬場」と同じ意味合いです。2025年5月時点で、全国に43か所の本場(=実際にレースを開催する競輪場)があります。
| 区分 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| 本場 | 自前でレースを開催する競輪場 | 久留米・小倉・大宮など全国43か所 |
| 場外車券売場 | 他場のレースを発売する施設 | サテライト姫路・サテライト横浜など約70か所 |
| 場外発売 | 自場以外で開催されるレースの車券を売る仕組み | 全国43場ほぼすべて |
私が初観戦したのは福岡県の久留米競輪場でしたが、家から30分の場で「場外発売」として小倉や別府のレースを買えることに、当時とても驚きました。
競輪場は全国にいくつありますか?
2025年時点で全国に43か所あります。北は函館から南は熊本・別府まで、47都道府県のうち23都府県に分布しています。
地区別に整理すると以下の通りです。
| 地区 | 場の数 | 主な場 |
|---|---|---|
| 北日本(函館・東北・新潟) | 4 | 函館・青森・いわき平・弥彦 |
| 関東 | 8 | 前橋・取手・宇都宮・大宮・西武園・京王閣・立川・松戸 |
| 南関東 | 4 | 川崎・平塚・小田原・伊東温泉 |
| 中部(静岡・東海) | 7 | 静岡・名古屋・岐阜・大垣・豊橋・四日市・松阪 |
| 近畿 | 5 | 奈良・向日町・和歌山・岸和田・京都向日町 |
| 中国 | 4 | 玉野・広島・防府・小松島 |
| 四国 | 2 | 高松・高知 |
| 九州 | 9 | 小倉・久留米・武雄・佐世保・別府・熊本・松山・西武 |
地区が9つに分かれていることが、後述する「ライン戦」の仕組みに直結しています。同じ地区の選手は普段から練習を共にしていて、レースでも自然と連携する文化があります。
バンクの距離は何種類ありますか?
競輪場のバンク(走路)は3種類の周長に分かれています。
| バンク距離 | 場数(概数) | 特徴 | 代表的な場 |
|---|---|---|---|
| 333m(333・335mバンク) | 7か所 | 小回り・先行有利 | 前橋・松戸・防府・玉野・大阪府(岸和田)・伊東温泉・函館 |
| 400mバンク | 32か所 | 標準・脚質バランス型 | 久留米・小倉・大宮・武雄・平塚・小田原ほか多数 |
| 500mバンク | 3か所 | 大回り・差し有利 | 大宮・宇都宮・松阪 |
333mは「コーナーが多くて駆け引きが激しい」、400mは「最もスタンダードでデータが読みやすい」、500mは「直線が長く差しが決まる」のがおおまかな印象です。私は400mバンクでの観戦経験が一番多いのですが、333mで観た時は最終1コーナーの混戦に息を呑む瞬間が何度もありました。
競輪場ごとに「個性」はありますか?
あります。バンクの距離だけでなく、みなし直線距離・カント角度・気候・地元選手の層が組み合わさって、それぞれの場に独自の個性が生まれています。
直線の長さで決まる脚質有利
「みなし直線距離」は、最終コーナーを出てからゴールラインまでの距離です。長ければ差しが決まりやすく、短ければ逃げが残りやすい傾向があります。
| 場 | みなし直線距離 | 傾向 |
|---|---|---|
| 武雄(400m) | 64.4m | 400mバンクで最長・差し有利 |
| 大宮(500m) | 66.7m | 全国最長・差し圧倒的有利 |
| 平塚(400m) | 54.2m | 標準・脚質バランス型 |
| 大垣(400m) | 56.0m | 標準・伊吹おろしの風で変動あり |
| 佐世保(400m) | 40.2m | 400m最短・逃げ有利 |
| 玉野(400m) | 47.9m | 短め・逃げ残り傾向 |
気候で決まる風の影響
私が住む福岡県の久留米競輪場は、春先に風が強い日が多いと言われています。逆風時は逃げ選手の脚を削る要素になり、追い風時は差し選手にとって有利な展開になります。
大垣競輪場の「伊吹おろし」、平塚の「相模湾からの海風」、函館の「夏でも涼しい潮風」など、地理的な特徴が予想にそのまま反映されるのは競輪の奥行きを感じる部分です。
「本場」と「場外」はどう違いますか?
本場は自前でレースを開催する競輪場です。一方、場外は他場のレースの車券を売るだけの施設です。
| 区分 | 主な機能 | 入場料 | 例 |
|---|---|---|---|
| 本場 | レース開催+場外発売 | 50〜100円(小倉など無料の場も) | 久留米競輪場(自場開催あり) |
| 場外発売 | 他場レースの車券販売のみ | 100〜200円 | 久留米場での小倉レース発売など |
| 場外車券売場 | 専用施設で複数場の車券販売 | 100〜200円 | サテライト姫路・サテライト横浜 |
近年はインターネット投票(KEIRIN.JP・WINTICKET・オッズパーク)が主流になりつつあり、場外車券売場の利用者は減少傾向にあると報告されています。それでも、現地観戦の臨場感は配信では味わえないものがあるので、お近くに本場や場外がある方は一度足を運んでみる価値があると思います。
競輪場のグレードレースはどこで開催されますか?
最高峰のグレードレース(GP・G1・G2・G3)は、原則として各場の持ち回りで開催されます。
| グレード | 年間開催数(2026年) | 開催場の例 |
|---|---|---|
| GP(KEIRINグランプリ) | 2レース | 立川・京王閣など年替わり |
| G1 | 10レース | 高松宮記念杯(岸和田)・寛仁親王牌(前橋)・全日本選抜競輪・日本選手権競輪など |
| G2 | 4レース | サマーナイトフェスティバル・ウィナーズカップなど |
| G3(記念競輪) | 44レース | 全43場で年1回ずつ+追加開催 |
G3(記念競輪)は各場が開設記念として開催する伝統あるレースで、地元のS級選手が一堂に会します。私が住む福岡県では、久留米競輪場の「中野カップレース」、小倉競輪場の「夏のG3」を中心に観戦しています。
競輪場ごとの「決まり手」の傾向はどう違いますか?
「決まり手」とは、1着の選手がどんな戦法で勝ったかを示す記録です。逃げ・捲り・差し・マークの4種類があり、場ごとに傾向が出ます。
| 傾向 | バンク特徴 | 該当場(例) |
|---|---|---|
| 逃げ残りが多い場 | 333mバンク・直線短め | 前橋・玉野・防府・佐世保 |
| 差しが決まりやすい場 | 500mバンク・直線長め | 武雄・大宮・宇都宮 |
| バランス型(脚質拮抗) | 400mバンク・直線標準 | 久留米・小倉・大垣・平塚 |
「先輩を立て、後輩を守る」のがライン戦の本質ですが、場の特性によって先輩(先行)を守りきれるか、後輩(マーク)が抜け出すかの結果が変わってきます。同じ顔ぶれでも場が変われば結果も変わる、というのが競輪の面白さだと感じています。
全国43場を効率よく覚えるコツはありますか?
私のおすすめは地区別に9〜10場ずつグループで覚えることです。
1. 北日本(4場):函館・青森・いわき平・弥彦 2. 関東(8場):前橋・取手・宇都宮・大宮・西武園・京王閣・立川・松戸 3. 南関東(4場):川崎・平塚・小田原・伊東温泉 4. 中部(7場):静岡・名古屋・岐阜・大垣・豊橋・四日市・松阪 5. 近畿(5場):奈良・京都向日町・和歌山・岸和田・大阪府 6. 中国(4場):玉野・広島・防府・小松島 7. 四国(2場):高松・高知 8. 九州(9場):小倉・久留米・武雄・佐世保・別府・熊本・松山・西武(・別府西)
ライン戦は地区別で組まれるので、地区別に覚えることが選手の所属を理解する最短ルートになります。「型を覚えてから自分の流儀を」とは茶道の世界の言葉ですが、競輪も同じく型から入ると見通しが効くようになります。
ピラー記事で全43場をさらに深掘り
各場の詳細なバンク特性・地元選手・気候まで踏み込んだ完全ガイドは、ピラー記事にまとめています。
全国43競輪場の特徴と攻略|333m・400m・500mバンク完全一覧
ピラー記事では1場ずつ「みなし直線距離・カント角度・主な決まり手・地元主要選手」を網羅していますので、観戦の前にぜひ予習に使ってみてください。
まとめ:競輪の「場」を知れば観戦が変わる
競輪の「場」は単なる開催地ではなく、選手の脚質・ライン構成・配当傾向まで決める要素です。43場それぞれに歴史と個性があり、その場ごとの空気を知ることで観戦の解像度が一段上がります。
- 全国43か所の本場が地区別に分布
- バンクは333m・400m・500mの3種類
- 直線の長さ・気候・地元選手で個性が決まる
- 場外車券売場とは役割が異なる
- グレードレースは各場の持ち回り
私自身、観戦8年でようやく9地区の場の名前と特徴が頭に入ったかなと感じています。単発の勝ちより一年通しての佇まいを見るには、まず場を知ることから始まると思っています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 競輪場は全国にいくつありますか?
A. 2025年5月時点で全国43か所あります。北は函館、南は熊本まで、9つの地区に分かれて分布しています。
Q2. 競輪のバンクは何種類ありますか?
A. 周長で3種類に分けられます。333m(小回り・7か所)、400m(標準・32か所)、500m(大回り・3か所)です。
Q3. 「本場」と「場外」の違いは何ですか?
A. 本場は自前でレースを開催する競輪場、場外は他場のレースの車券を売る施設です。場外車券売場は全国に約70か所あります。
Q4. 初心者はどの場を選べばいいですか?
A. お近くの本場、または400mの標準的なバンク(久留米・小倉・大宮・大垣・平塚など)から始めると予想しやすいと思います。私は地元の久留米から入りました。
Q5. グレードレースはどこで観られますか?
A. GP・G1・G2は限定された場で年に数回、G3(記念競輪)は全43場で年1回開催されます。KEIRIN.JPの開催スケジュールで確認できます。
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