久留米の春は風が強いと言われています。今日は、競輪のS級・A級の主要選手を、観戦歴8年の私なりにご紹介します。私が大学時代に自転車競技部のマネージャーをしていた頃、競輪選手になった先輩・後輩が数名いました。その人たちの名前は出しませんが、選手の方々の真摯な走りを見ていると、当時の練習風景が重なってくることがあります。
選手の評価は数字だけでは語れません。単発の勝ちより一年通しての佇まい。これは私が選手を見るときの大切にしている観点で、勝率や賞金だけでなく、ラインの中での役割や後輩への接し方も含めて選手の魅力だと感じています。
今回ご紹介するのは、2025年5月時点で活躍中の主要選手です。情報はKEIRIN.JP選手データベース・JKAランキング・各種スポーツ紙の公表値を参照しました。選手の年齢・登録地・期は記事公開時点の情報です。
競輪選手の階級はどうなっていますか?
競輪選手は、半年ごとの競走得点によって以下の階級に分けられます。2025年時点の概数で示します。
| 階級 | 在籍人数(概数) | 主な開催 |
|---|---|---|
| S級S班 | 9名 | グランプリ・G1・G2の優勝候補 |
| S級1班 | 約60名 | G1〜G3レギュラー |
| S級2班 | 約120名 | F1(普通開催)主軸 |
| A級1班 | 約450名 | F1・F2準主軸 |
| A級2班 | 約450名 | F2の主軸 |
| A級3班 | 約450名 | チャレンジ戦 |
S級S班はわずか9名。年末の競輪グランプリ(KEIRINグランプリ)の前年度成績で選抜される最高ランクの選手です。
S級S班の9名は誰ですか?
2025年(2024年成績ベース)のS級S班には、以下のような選手が並びます。実際の選定はJKAランキングによって毎年見直されますので、最新は公式発表をご確認ください。ここではご紹介として、2024年シーズン末時点で広く認知されている9名を中心に書いていきます。
脇本雄太選手(福井・97期)
戦法:逃げ・両刀 生年:1989年生まれ 主な実績:KEIRINグランプリ2018年・2023年優勝、競輪祭2022年優勝、世界選手権ケイリン銀メダル
脇本選手は「日本最強の先行型」と長年言われている選手です。スタートからの加速力と最終周回の粘りは、観戦していて鳥肌が立つ走りを何度も見せてきました。私の夫が大ファンで、脇本選手が走るレースは2人で必ず観戦しています。先輩を立て、後輩を守る走りを、現代競輪の象徴として体現しているように感じます。
古性優作選手(大阪・100期)
戦法:捲り・追込 生年:1991年生まれ 主な実績:KEIRINグランプリ2022年・2024年優勝、寬仁親王牌2023年優勝
古性選手は捲りの名手として知られています。最終周回の3コーナーから4コーナーにかけて、外を回って一気に先頭を抜き去る走りは、競輪の華やかさを最も体現していると感じます。100期同期との連携も強く、近畿ラインの中核として活躍しています。
新田祐大選手(福島・90期)
戦法:追込・自在 生年:1986年生まれ 主な実績:KEIRINグランプリ2013年優勝、競輪祭2024年優勝、ロンドン五輪・リオ五輪日本代表
新田選手は競輪と五輪トラック競技を両立した数少ない選手です。北日本ラインの番手から鋭く差し脚を伸ばす走りに定評があり、ベテランながら今も第一線で活躍されています。「先輩の走りを学ぶ場として最高の番手選手」と多くのファンが評する所以だと、私も同じ思いです。
郡司浩平選手(神奈川・99期)
戦法:逃げ・捲り 生年:1990年生まれ 主な実績:KEIRINグランプリ2020年優勝、共同通信社杯2022年優勝
郡司選手は南関東ラインの主軸で、力強い先行型です。脇本選手と並ぶ「現代競輪を引っ張る先行型」として、ファンから尊敬を集めています。
平原康多選手(埼玉・87期)
戦法:両刀・自在 生年:1982年生まれ 主な実績:高松宮記念杯2020年優勝、寬仁親王牌2018年優勝
平原選手は40歳を超えてもなお第一線で活躍する関東ラインのベテランです。両刀型で展開に応じた走りができる柔軟性が、長期的な活躍の理由と感じます。
深谷知広選手(静岡・96期)
戦法:捲り・両刀 生年:1989年生まれ 主な実績:高松宮記念杯2018年優勝、複数のG2優勝
深谷選手は中部ラインの中核選手で、瞬発力に優れた捲り脚が魅力です。後輩への面倒見の良さでも知られていて、ライン構成での信頼度が高いと聞きます。
松浦悠士選手(広島・98期)
戦法:捲り・追込 生年:1990年生まれ 主な実績:KEIRINグランプリ2019年優勝、寬仁親王牌2021年優勝
松浦選手は中四国ラインの主軸で、捲りと追込の両方を高いレベルで使い分けられる選手です。
清水裕友選手(山口・105期)
戦法:逃げ・自在 生年:1995年生まれ 主な実績:高松宮記念杯2023年優勝
清水選手は中四国の若手主軸として、ここ数年で急速にランクを上げてきた選手です。逃げ脚の強さに加え、自在性も身につけてきている印象があります。
眞杉匠選手(栃木・113期)
戦法:逃げ・捲り 生年:1999年生まれ 主な実績:日本選手権競輪2024年優勝(最年少優勝)
眞杉選手は2020年代後半に台頭してきた若手のホープです。113期の同期と組むラインで、新世代の競輪を作っていく存在として注目されています。
※ 上記9名は2024年シーズン末から2025年シーズン初頭にかけて広く認知されている選手で、年度替わりのS級S班選定は変動します。最新の正式な発表はJKA公式(keirin.jp)でご確認ください。
各地区の中堅・若手注目選手は誰ですか?
S級S班以外にも、各地区には記憶しておきたい中堅・若手選手が多くいらっしゃいます。型を覚えてから自分の流儀をという観点で、まず各地区2〜3名を覚えておくのが楽しみ方を広げるコツです。
北日本地区の注目選手は?
佐藤慎太郎選手(福島・78期):追込のベテラン。「先輩を風よけにして最後だけ自分の脚で抜け出す」型の美しさを長年見せてきた選手です。
新山響平選手(青森・107期):逃げ型の若手主軸。北日本ラインの未来を背負う1人として注目されています。
関東地区の注目選手は?
諸橋愛選手(新潟・79期):弥彦競輪場を地元とするベテラン。500mバンクでの追込が見事な選手です。
佐藤水菜選手(神奈川・122期):ガールズケイリンの若手筆頭。次章で詳しく書きますが、関東地区にも所属しています。
中部地区の注目選手は?
山田英明選手(佐賀・89期):実際には九州ですが、中部開催にも頻繁に出走。中部の選手と組むことも多く、地区を越えた連携を見せる選手です。
浅井康太選手(三重・90期):中部の追込型ベテラン。長期にわたって安定した成績を残しています。
近畿地区の注目選手は?
村上博幸選手(京都・86期):近畿のベテラン追込型。「型を大事にする走り」で知られ、若手の見本として尊敬されています。
南修二選手(大阪・88期):捲りと差しを使い分けるベテラン。古性選手とのライン構成も見どころです。
中四国地区の注目選手は?
柏野智英選手(広島・88期):中四国の中堅選手。安定感のある走りで地区ラインを支えています。
小川真太郎選手(徳島・107期):徳島の若手注目株。先輩の走りを学びながら、自分の型を作っている段階の選手です。
九州地区の注目選手は?
園田匠選手(福岡・87期):私が応援する九州ラインのベテラン。久留米競輪場では地元の声援を受けて走る姿が印象的です。先輩を立て、後輩を守るを体現している選手の1人だと、私は感じています。
柴崎淳選手(三重・95期):これは中部所属ですが、九州ラインと組むことも多い選手。地区を越えた繋がりが見えるのも競輪の面白さです。
池田勇人選手(熊本・90期):熊本競輪場再開後の地元選手として、地元ファンから熱い声援を受けています。
A級の主要選手はどんな方々ですか?
A級はS級の下位ランクですが、ここから上がってきた選手がS級で活躍する基盤になっています。単発の勝ちより一年通しての佇まいという観点で、A級から選手を追いかけ始めるのも楽しい入り方です。
A級1班の特徴は?
A級1班は約450名。F1・F2の主軸として活躍し、ここで勝率を伸ばせばS級2班昇格が見えてきます。直近の半期で勝率3割以上・連対率5割以上が昇格の目安と言われています。
S級昇格を目指すA級選手の見方は?
A級1班で安定して勝率3割を超えている選手は、半年から1年でS級2班に上がる可能性が高いです。新しい選手の発掘は私の観戦の楽しみのひとつで、A級開催を見ているときに「この選手はそろそろS級だな」と感じる瞬間があります。
グランプリに出場できる選手は誰ですか?
毎年12月30日のKEIRINグランプリは、年間の総決算となるレースです。前年度のG1優勝者・賞金獲得上位9名が出場権を得ます。これに勝つと翌年のS級S班に確実に名を連ねることになり、まさに「年間王者を決める一戦」と言えます。
過去のKEIRINグランプリ優勝者は?
| 年 | 優勝者 | 所属 | 期 |
|---|---|---|---|
| 2019 | 松浦悠士 | 広島 | 98期 |
| 2020 | 郡司浩平 | 神奈川 | 99期 |
| 2021 | 古性優作 | 大阪 | 100期 |
| 2022 | 古性優作 | 大阪 | 100期 |
| 2023 | 脇本雄太 | 福井 | 97期 |
| 2024 | 古性優作 | 大阪 | 100期 |
※ 出典:KEIRINグランプリ公式記録(keirin.jp)
100期の古性選手が3度優勝しているのが、現代競輪の象徴的な出来事です。一方、ベテラン脇本選手も2018年・2023年と複数回優勝していて、世代の交代が緩やかに進んでいる様子が見て取れます。
選手を覚えるための3つのコツは?
ここからは、初心者の方が選手を覚えるためのコツを3つお伝えします。
コツ1:地区別に3名ずつ覚える
7地区×3名で21名。これだけ覚えるとほとんどのS級レースで「知ってる選手が走っている」状態になります。私もこの方法で2〜3年目に基礎を作りました。
コツ2:戦法別に代表選手を1名ずつ覚える
逃・捲・追・両の4戦法それぞれに代表選手を1名ずつ。脇本(逃)・古性(捲)・新田(追)・平原(両)。この4人を軸にレースを観ると、戦法の違いが体感的に分かってきます。
コツ3:自分の応援する1名を決める
「推し選手」を1名決めて、その選手のレースを追いかける。私の場合は九州ラインの中堅選手ですが、勝った負けたの数字だけでなく、走り方の佇まいや後輩への接し方を見ることで、競輪が一段と豊かに感じられるようになりました。
選手の引退と新人デビューはどう見ればいいですか?
競輪選手の現役引退は、おおむね40代半ば〜50代前半が多い傾向です。一方、毎年70名前後の新人が日本競輪選手養成所(伊豆)を卒業し、デビューしています。
新人選手の特徴は?
新人選手は最初の半年から1年はA級3班(チャレンジ戦)で経験を積みます。勝率4割以上を出すとA級2班に上がり、そこから半年ごとに昇格を目指します。新人デビュー時の競走得点は60点台が多く、ここから70点台後半まで上げられればS級が見えてきます。
ベテランの引退の見極めは?
引退を発表する選手は、引退ツアーとして全国の競輪場を巡る「引退レース」に出走することがあります。地元の競輪場での引退レースは特に感慨深く、ファンとして見守る価値のある時間だと感じます。単発の勝ちより一年通しての佇まい。最後の走りを通して、その選手の一生分の競輪人生が見える瞬間が、引退レースにはあります。
まとめ:選手図鑑を活かす3つの楽しみ方
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。最後に、この選手図鑑をどう楽しむかの3つの方向性をご提案します。
- S級S班9名を覚える:まずトップを把握し、競輪界の頂点を理解する
- 地区別に応援を決める:自分の故郷の地区ラインから入ると親しみが湧く
- 戦法別に追いかける:逃・捲・追・両の4戦法を代表選手で覚える
私は九州ラインの中堅選手を応援するうちに、八年で随分多くの選手の名前と顔を覚えました。型を覚えてから自分の流儀を。茶道と同じように、まずは基本となる選手を覚え、徐々に自分の好きな選手の幅を広げていく。これが私のおすすめの楽しみ方です。
次回は「ガールズケイリン完全ガイド」で、ガールズケイリンの世界をご紹介します。男子と等価で扱う、これは銀輪ノートの大切な編集方針のひとつです。
よくある質問(FAQ)
Q1. S級S班の9名はどうやって決まるのですか?
前年の競走成績・賞金獲得・G1優勝などを総合的に評価し、JKAが9名を選定します。毎年1月に発表され、その年のG1・G2の優勝候補として位置付けられます。
Q2. 競輪選手の平均年収はいくらですか?
S級選手の平均年収は1,500万〜2,000万円、S級S班になると年収5,000万〜1億円超の選手も存在します。A級1班で約800万円前後、A級2班で約500万円が目安と言われています(JKA公表値・2024年度参考)。
Q3. 選手の階級は何で決まりますか?
半期ごとの競走得点(出走したレースの着順を点数化したもの)と勝率・連対率の総合評価で決まります。S級・A級の境界は競走得点68点付近、S級1班・2班の境界は78点付近が目安です。
Q4. 競輪選手の引退年齢は何歳くらいですか?
平均的には45〜52歳が多い印象です。一部のベテランは55歳前後まで現役を続けています。脚の負担と勝率の維持を考えると、40代後半で引退を考える選手が多いと聞きます。
Q5. 新人選手はどうやってデビューしますか?
日本競輪選手養成所(伊豆)を卒業すると、地元の地区に登録され、A級3班(チャレンジ戦)からスタートします。最初の半年で勝率4割を超えればA級2班に上がり、そこから順次階級を上げていきます。


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